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この作品は、童話企画で「眠り」をテーマにした作品です。「十月の童話」で検索すると、他の先生の素晴らしい作品が読めます。ぜひ比較して楽しんでください。
夢を見る魚
作:並盛りライス


冬の海は冷たく、冬の風はそれよりも、さらに冷たい。
遠くの方で、煌めく宝石みたいな光の粒が、降り注ぐように落ちてくる。

「さっき、僕は鳥になったよ。」

魚のぼうやは言いました。
まだ、ほんの子供ですが体はもう立派な大人の魚です。

波の音は静かに、ほどけてやがて満ち引きを繰り返します。

「魚は空を飛べないのかな?」

海は空の青を映して、どこまでも穏やかでした。

「夢の中なら、飛ぶことは簡単さ。泳ぐ事だってできる。」

カモメ達が歌うように囁きます。

魚のぼうやは嬉しくなって言います。

「大人になっても夢を見るの?」

ほんの少し、カモメ達は黙って。

「もちろんさ。」

と答えました。

「僕も一緒に連れていってよ。」

風は冷たく、海の表面を撫でるように吹きます。

「それはできないよ。」

カモメ達は言いました。

魚のぼうやは、悲しくなって泡の涙をポロポロ流します。

「おやすみぼうや。夢の中なら空だって飛べる。」

「僕、眠くなんかないよ。」

魚のぼうやが言いました。

「大人になったら忘れてしまう。でも思い出せばいいんだ。」

カモメはビュッと吹く風を受け止めながら言いました。

海を越えるのはカモメ達にとっては命がけです。

「さぁ、おやすみ。大人になっても夢を見ることを忘れないようにね。」

カモメは空高く、海を泳ぐみたいにスイスイと遠ざかっていきました。

今日もぼうやは夢の中で、楽しく空を飛ぶのでしょうか。


それは深い深い眠りでした。
夢も見ないくらい深い眠りの中でぼうやは、眠る事は怖くないと知りました。


春になって、ぼうやが夢の話をすることはなくなりました。

でも、それはぼうやが忘れているだけで、夢はいつもぼうやの心の側で、カモメ達と共にありました。

春の海は穏やかで、時々船が思い出したように汽笛を鳴らす以外は静かでした。














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