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呪をもらって魔法学園生活!!
作:久澄望



第三:我は弱なり。 我は強なり part1



 2067年4月20日。 そろそろこの学校にも溶け込めるようになった生徒が増えたこの頃、中学一年校舎の廊下をずかずかと歩く生徒がいた。
 名前は斐川泰斗(ひかわたいと)。 まるで猫の様にギラついた黄色い瞳をさらにギラつかせ、それにふさわしく思わせるがごとく青緑色に染めた髪を邪魔にならない程度にバッサリと切っている。

(許せない………………!)

 彼は今そう思っていた。 斐川は始業式のときに、『あの』校長から『CHASER(追いかける者)』という魔法名を貰い、同時にLEVEL(さいじゃく)1というレッテルを貼られた。
 別に屈辱的ではなかった。 そんなの中学生の半分以上がそうなのだし、上のものに対しては今まで通り、『努力』で勝ち取れば良い。
 しかし、あれらは納得いかなかった。 突然現れた魔神に対して怖がりもせず立ち向かって見事討ち勝った青紫色の髪をした少年。 上級生に対して一歩も退かないどころか、無傷で圧勝して喝采を浴びた、左目を隠した金色の髪の少年。
 どちらも、歴代の入学生を通しても、例の少ないLEVEL(てんさい)3だという。 今ではさまざまな所から『将来を期待された新人』とも言われている。 なお許せない!
 斐川は幼少時代から努力家だった。 その目的は、成果を上げた自分に対する周りからの喝采のためではなく、大した努力もしないで成果を挙げられる、『天才』を追い越すためだった。
 努力無しで上手く行くと思っているなら大間違いだと言い聞かせてやりたかったから。 だから精一杯努力して、そいつらに挑んでみた。 成果は出た。 勉強もスポーツも、周りの奴らと比べれば遥かに出来るようになっていた。 でも、それで止まっていた。
 斐川(じょうじん)にとって、天才という存在はあまりにも遠すぎたのだ。 どれだけ努力しても、どれだけ頑張っても、どれだけ苦しんでも、天才には追い越すどころか、近づくことさえ出来なかった。
 でも、いつかは努力は報われるのだと信じていた。 今もそうだ。 努力は天才を負かすと、自信と確信を持っていた。
 しかし今回に関してはそうできる自信が持てなかった。 魔法は勉強やスポーツとはわけが違う。 そういうのとは違って、根本的な才能一つでで全てが分かれる。 知ってた。 そんなの入学する前から知ってた。 自分は魔法でも才能は無いだろうと最初から確信していた。 だけど、

(嫌だ! これからも天才に負けるなんて、絶対に嫌だ!)

 階段を上り、数メートル右を歩いたところに、斐川は自分が着たかった場所があった。 
 1年C組。 天才の片翼のいる教室。 もう決めていた。 コレで自分のこの学校でのこれからが決まるんだ!



 現在時刻12時48分。 少年、篠原葉月は本当にぐったりと机に突っ伏していた。 現在の彼の体温は37度6分。 微熱で片付けるには少し高い。
 本当なら今日の今頃は布団でぐっすりと寝ていたはずなのだが、愛海が「一緒に行かないとこれからの家事、全部やらせるよ!」とかなんかメチャクチャな事を言ってきたので99%強制的に、教室(ここ)に来てしまった。
 まぁ、でも今は昼休み。 後残りに時間を適当に過せば、本当に休める。 正直、机に突っ伏したまま5時位までいようかと考えている。 というよりもまず保健室に行けばいいのにと誰もが考えるのだが、不運にも、自分の隣の席に座っている愛海がそれを許さない。

(こいつの将来は社員をいびる女部長とかだ………)

 勝手に自分の姉の将来を予想したところで、なんだか頭痛まで追加されてきた。 

(いっそ寝ようか………)

 何となく少し眠くなってきた。 そうだ、このまま寝てしまえばいい。 もういっそ毒を盛られて死んだ時みたいに。 まぁ経験したことは無いが。
 しかし、葉月がそんな考えを持ったとき、教室のスライド式のドアがズバンと妙に良い音を出しながら開けられた。 葉月はその音に反応して飛び上がるように体を起こしてしまう。
 ドアを開けた張本人は、青緑色の髪をした少年だった。 なんでかは知らないが、大変ご立腹なご様子だ。 そして、何故か彼のギラついたその目線の延長は、明らかに葉月へ届いている。 え、なんで?
 少年がづかづかとこちらに向かってくる。 最終的に自分の席の前まで来た。 やっぱり彼のお目当ては自分のようだ。

「篠原葉月、放課後闘技場に来い。 君と一度手合わせ願いたいんでね」

 瞬間。 葉月は水が瞬時に氷になったようにピキリと時間が止まったかと思った。 今自分は何と言われた?
 数秒経って、自分が目の前のこいつに勝負を仕掛けられたのだと気付き、躊躇無くためらい無く遠慮無しに、葉月が「ゴメン無理」と言おうとした瞬間、教室内がざわめき始めた。

「え? 誰あの子? 天才君と勝負だって!」
「凄いことだ! 絶対見に行こう!」

 葉月は騒ぎ出す教室内を見回した。 勝手なことを言ってくれる。 こっちは熱で今にも倒れそうなのに。 ていうか隣で一番はしゃいでいる愛海を一発シバきたい。
 それにまず、このまま誘い通りに行ったとしても、集中力が必要である魔法はうまくは扱えないと思う。 簡単に言えば、行きたくない。 うん、ホントに。

「あのさぁ、悪いんだけど」
「NOという返事は聞かないよ。 天才君がこんなLEVEL1相手に逃げるなんて、誰も許さないだろうしね」

 たしかに、そんな感じはする。 今葉月が「熱があるからゴメン無理」と言ったとして、この状況で誰が了承するだろう。 まぁ、簡単に言えば、逃げられないのだ。 酷い物だ。 違う言い方をすれば、皆が皆、葉月を休ませてはくれないという事なのだから。
 葉月はその優れた脳をフル回転して色々と回避法を考えてみたが、最終的には心の中で大きく深くため息をついた。 つまり、諦めた。 結構あっさり。

「……放課後ね……。 いいよ、解った」

 目の前の少年は待っていましたといわんばかりに、あまり上品とはいえない笑みを見せる。

「ふ……。 じゃあ、楽しみにしているよ…………」

 少年は踵を返し、クスクスと笑いながらまだざわめいている教室を出て行った。
 彼の去っていく後姿を見て、葉月はふと思う。

(なんであいつ、『僕を怨んでいる様な目で見ていたんだ?』)

 彼の表情と目の色を思い出してみる。 彼の目は一度も笑っていなかった。 彼のあの笑みは何かを企んでいる様なではなく、何かを決めような笑みだった。 心の底から。
 よく解らない。 この感覚はあの光崎神無を初めて見た時と似ているかもしれない。
 そんなことを考えていたら午後の授業のチャイムが鳴ってしまった。 次の教科は……あぁ、体育だ。 見学にはなるが、体を休めることは出来ない。
 なんで自分はこういう結果になってしまうのかと、葉月はため息をついた。


第三話に突入です! 遅い? でもこれが精一杯の速さなんです(泣)。
「ガンバレ俺!」と言いたいところだけど、そんなんで頑張れる人間って現実にどの位いるんでしょうかね?
俺的な推理の中では一人もいないと思います。
でもまぁ、俺は頑張りますよ。 諦めたくないですしね!
では、アドバイスや感想、または評価など、お待ちしております!







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