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呪をもらって魔法学園生活!!
作:久澄望



第四:小さな鬼と書いて許婚と読む!! part2



「今日転校生来るらしいぜ、どんな子かな?」
「私さっき職員室の前で見たよ! すっごく可愛かった!」
「まじ、やっべ! フラグ立ってきたぜ!!」

クラス中の噂話が五月蝿い。 心底そう思ったのは、実は初めてなのかもしれない。
葉月はただ机に突っ伏していた。 金属のデスクの冷たさが妙に気持ち言い。
しかし、その中で一つの疑問を抱えている。

その転校生は美久なのではないかと。

というかそれしか無いだろう。 彼女とは四日前に会ったばっかりだ。 そして、その時美久はここの生徒ではなかった。
だったら彼女が転校してこの学園に来たと、事情を知っている人間なら、そう考えるのが当たり前と言ったら当たり前だろう。

「ね〜ね〜。 葉月! 転校生って誰かな?」

前の席から愛海が楽しそうな顔をしながら話しかけてきた。 その楽しんでいる顔が、人の不幸を楽しんでいる鏡の向こうにいる自分の顔のような気がして、無性に腹が立った。
葉月はとりあえずそれを、「知らない」とだけ言って、適当に流した。

「私の考えでは、何処かの財閥お嬢様が、この学園に興味を持って、または思いを寄せている人がいるために、無理やりこの学園に入ってきたんだと思うの」

自慢げに中学生にしては豊かな胸を張りながら、そんな推理論を並べる。
そんなギャルゲー魂一本な設定でたまるか! と葉月は考えたい及び言ってやりたいところだが、今回来る転校生が美久だった場合、愛海の推理はコナン・ドイルもビックリな推理となってしまうので。 迂闊なツッコミは出来ない。
複雑な思いを溜め息に乗せると、それに反応したかのようにチャイムが鳴った。
律儀にチャイムと同時に担任の女教師がクラスに入ってきた。 教師はまだ若くて、大きな丸眼鏡をしている。 長くて豊かな髪は二つに分けて三つ編にして、教師というよりは、一昔前の受験生みたいな人物だ。
担任教師は、出席簿を教団に置いて、もう百点満点を送りたくなるような素敵な笑顔をクラス全体に送った。

「起立!」

クラス委員長の合図と共にクラス全員が立ち上がる。

「気をつけ!」

シャキ! またはビシッ! という効果音が似合いそうな程、緊張感に満ちた姿勢をとる。

「礼!」

『『『おはようございま〜す!!!』』』

ズバァ! という効果音が付きそうな程、クラス全員が気合の満ちた挨拶をする。
何かものすごいやる気の満ちたクラスに見えるかもしれないが、実は違う。 これはあくまで、先生に対する『愛』をクラス全体が表した態度であり、やる気がどうこうの問題ではない。
実際、葉月は頭を下げていない。 先生に対しての愛も、やる気があるわけでも無いから。
不意に担任教師と目が合った。 満面の笑顔をしていた。 なのに、彼女の周りの空気が笑っていなかった。

「はい、おはようございます♪」

綺麗な笑顔を保ったまま、クラス全体に返す。 あれが営業スマイルか、覚えておこう。 
クラス全体が席に座ると、同時に葉月も席に座った。

「さて、今日は皆さんに大きなお知らせがあります!」

担任のそれと同時に教室がザワザワと騒がしくなる。 葉月は身を引き締めた。 緊張ではない、恐怖からの反応だ。

「入ってきて!」

担任が教室の方を向いて手招きをする。 すると、教室のスライド式のドアがゆっくりと開かれた。

現れたのは、シンプルな柄のワンピースを着た、自分の身長と同じくらいの長さを持つ綺麗な青色の髪を揺らしている小学校2、3年生程の少女だった。

そう、相馬美久は最初から決まっていたかのようにこのクラスにやってきたのだ。 愛海の推理が名推理となってしまったな………。
教室に足を踏み入れると同時にトテトテと教師の隣まで小走りする。 そして、

「相馬美久です! 皆さんこれからよろしくお願いしま〜す♪」

明るくて可愛らしい挨拶と同時にクラス一同(主に野郎共)が喜びの歓声を上げた。 葉月は深い溜め息を吐くのだが。

(ついに来てしまったか………。 まぁでも………)

とりあえず、自分の隣になることは無いだろうと考える。 なんせ自分の隣は全部埋まっているのだ。
前に愛海、後ろに須賀、右に菊地、左に津田がいて、美久が入れる席は無い。 助かったと言えば助かった。
葉月は周りの救世主たちの席を見てみる。 その結果、何故か菊地の席だけ空いていることに気付いた。

(………は? ………まさかっ!?)
「じゃ、相馬さんは篠原君の隣に座ってね」

担任の教師が爆発的な発言を葉月、いやクラス全体にぶちまけた。
「は〜い♪」と見た目どおりにと言っても良いくらい元気な小学生の様な返事をする。
しかし葉月はほぼ条件反射と言って良いくらいにガタンとイスから立って言う。

「先生! 僕の隣には菊地がいるはずです。 いないとしても休んでいるだけなのでしょう? だったら他にも空いている席はあります!」
「菊地くんはF組に移動されました♪」

笑顔という特別付録付きの爆弾発言で即答された。 なんということだ。 
しかも、おそらくそれは彼が望んだことではなく、美久の家庭の『権力(ちから)』によって動かされたのだろう。 可哀相に。 自分もだが。 力が抜けてそのままイスにもたれ掛ってしまう。
その直後、美久は自分の席に行くため、これまた見た目どおり小学生の子供のように、とてとてとこちらに走って来て、自分の席の隣に座った。 ご丁寧にニコッと微笑んで。
そのまま担任のお知らせなどを聞いて、数分後にチャイムが鳴った。 全員が礼をして教師は出て行く。

(さて……………)

この場合、美久の行動は読み取れている。 さて、トイレにでも行くか。
そう想って立ち上がった瞬間、美久が自分に向かって飛びついてきた。 やはり予測どおりだ。 しかし、とんでもないことに、今はイスが邪魔で避けれない。 となると、

「葉月〜♪」

考えていた通り、美久はそのままダイブして抱きついて、葉月をイスごと倒し、下敷きにした。
床に背中がついた瞬間自分の口から変な悲鳴が漏れたが、考えるまもなく、

『『『葉月テメェ、その子とはどういう関係だ!!!』』』

いきなりクラス全員から殺気を浴びる事になった。 マズイ。
相馬美久という人間は昔からその容姿と性格のせいで、常に他人から護られるような人間であり、彼女に手を付ける男は一瞬で塵と貸してしまうという、とんでもないジンクス(必然の)的なものを起こす迷惑少女なのだ。
いままで葉月が小学時代に起こした膨大な喧嘩の数は、半分が葉月の態度であるが、もう半分はこの美久のジンクスによる物だった。
それにしても、転校初日でいきなりなるとは流石に思っても見なかった。 さすが全員中学生。 思春期突入時年齢。

「どういう関係も何も、幼馴染だ」

葉月はクラス全体に対して呆れを感じながらそう吐き捨てた。 
「なぁんだ」と安心を持った猛者たちが一般(いっぱん)人物(ピープル)に戻っていく。 しかし、

「違うわ! 私と葉月は許婚なの!」 
「違うわ! 葉月とこの子は許婚なの!」

美久と誰かがいきなりとんでもないことを言ってくれた。 しかしその誰かが瞬時に解ったので、探す手間は省けた。
犯人はうちの馬鹿姉(あいみ)だった。

「この馬鹿姉! なんでそんな……本当の事を言う!?」

すると愛海は「テヘ♪」とわざとらしく自分の頭を小突いた。

「本当のことだから♪」

だろうな。
詳細を言うと、愛海は自分と美久の間柄を良く知っている。
つまり愛海は、葉月が美久にもっと近づき難くなる様にあえて本当の事を言ったのだ。 なんて策士な悪女なんだ。
そして、

『『『奴を殺せ!!!!』』』』

愛海の言葉が思春期真っ盛りの猛者たちの(けがれし)(ソウル)を再び目覚めさせた。 本当に余計なことを。
葉月は急いで美久をどかし、全速力で教室を出て廊下を駆け抜ける。 どかした美久に「あぁん、葉月ヒドイ!!」とか言われたが、そんなのは無視だ。
後ろを振り向くと、美久に恋愛感情を持った猛者共が目を血走らせながら、葉月を本当に殺さんばかりの勢いで襲ってきている。 葉月は自分の足のギアを一段階上げた。
ちなみに、葉月とこの襲ってきている猛者達のリアル鬼ごっこは中学一年校舎外まで使いハメになり、葉月が授業に参加できたのは、昼休み終了時刻5分前のことだった。



名前:相馬美久(そうまみく)
性別:女
年齢:13歳
学年:中等部一年
性格:天真爛漫だが、すこし寂しがりで甘えん坊。
特徴:水色の長髪。 背が低く、小学低学年並みの体系であり、めちゃくちゃスレンダー。
シンプルな柄のワンピースをよく着ている。
魔法名:CHERISHER(慈しむ者)
備考:葉月とは幼馴染であり、親公認の許婚でもある美少女。恋愛に関しては妄想癖があるようで、時々暴走する。 国会議員の娘。
   見た目のこともあり、周りから守られるタイプ。 そのせいか、彼女に近づく、または親しく接した人間は敵対視される。
しかし、彼女は常人の数十倍の密度と柔軟性のある筋繊維をもつ体を持ち、常人の数十倍の力がある。


前回のこれの出来があまりにも悪かったので根本的な部分から書き直しました。
スイマセン、更新じゃなくて。 すぐに次話を投稿するつもりです。 ちょっと待っててくださいね。
相馬美久はいろんな設定を持っています。 ある意味、作者のお気に入りのキャラとなるでしょう。
では、今回はこの辺で。 今週中にまたお会いしましょう!











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