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呪をもらって魔法学園生活!!
作:久澄望



第四:小さな鬼と書いて許婚と読む!! part1


 2067年5月3日21時47分。 皆が心を落ち着かせるゴールデンウィーク中。 葉月は今逃げていた。 現実からとも言うが、恐怖からと言ってくれたほうが、今の彼にとっては正しい。
 ロングコートを風呂敷のようにして全身を包み、常時持ち歩いている書物を抱きしめ、小さい穴の中で身を潜めている遭難者のように体を震わせながら、彼はソファに座っている。

「で、お前は何で未だに僕の部屋にいるんだ?」

 不意に、随分と幼い顔をした淡い緑髪の少年に声を掛けられた。 彼は斐川泰斗。 数日前、とある事情により、葉月に戦いを挑んだ少年だ。
 あの頃はすごく棘々しい奴だったが、今では大分丸くなり、葉月の中学生での友達第一号となったのだ。  その証拠に、葉月が居ることに対してあまりよろしくない様な事を言っているが、手には暖かいココアが入ったコップが二つあるお盆を持っている。
 ソファの前においてあるローテーブルにそれを置くと「適当に飲め」といって、葉月が座っているソファとはテーブルを挟んで向こう側にあるクッションに座った。

「もう一回聞くが、何で基本就寝時間ギリギリまで僕の部屋にいるんだ?」

 葉月はそう言われて、顔を真っ青にしながら答えた。

「アイツがくるんだ…………」
「は?」

 葉月の呟きに斐川は怪訝な顔をすたが、葉月はそれに気付かずに体を震わせたまま続ける。

「相馬美久って奴なんだけど……そいつが来るんだ……そいつには……ここに来て欲しくないっ!」

 搾り出して叫んだ声に斐川は一瞬ビクッとするが、何となく解ったのか。 葉月を可哀相な人を見るような目で見る。

「そいつって……お前の彼女か何かか?」
「お前は何を聞いていた!?」
「だよな。 で、なんなんだよ」
「…………許婚だ…………」
「は?」

 斐川は眉根を寄せてそう言う。 疑問に思っているのだろう。 そりゃそうだ。 今時いきなり許婚って言われたら、「それどこのアニメの(ネタ)?」とか思われるのが普通だ。

「それどこのアニメの(ネタ)?」

 斐川は見事なまでに葉月の予想通りの返答をよこした。 正直葉月は笑いそうになってしまった。 自虐的な意味で。 葉月は重っ苦しい溜め息を吐いてから答える。

「本当の話だ。 相馬美久って言う女は、僕の幼馴染なんだ」
「ほぅ……。 んで?」
「親同士が仲良くって、美久自身も、僕がかなりお気に入りみたいでな、あいつが親に頼んだら勝手にそうなったんだっ……」
「ふ〜ん…………」

 斐川はココアをのんびりと飲みながら葉月の言葉を聞いている。 あんまり興味なさそうだ。 まぁ、そりゃそうだ。 どうせ周りにはのろけにしか聞えなのいだろう。 葉月がそう思っていると、リビングの扉が開けられた。 斐川と共にそちらに目を向ける。
 そこにいたのは、学校指定の赤いジャージを着た、細身の少年だった。 髪は腰辺りまで伸ばしているが、凄くボサボサで、手入れをしていないのが伺える。 おそらく、伸ばしているのではなく、切るのが面倒なのだろう。 だらしないのが全面的に出ているのに反して、顔立ちはもはや少女で、ボサボサの長髪だって似合っていると言えば似合っている。
 彼は両手にビニール袋を持っている。 学園内の売店で買い物でもしに行ったのだろうか。

「あ、護おかえり」
「うん、ただいま」
「何買ってきたんだ?」

 斐川が珍しく友好的な声を出して言う。 彼は夕凪護(ゆうなぎまもる)。 違うクラスだが、斐川の部屋に来るようになると同時に友人となった。 人が良く、誰とでも仲良くなれるような人間だ。
 夕凪は「明日の飯とかだよ」とのんびりとした口調で答えると、適当な場所にその買い物袋を置き、ひどく疲れたように、こちらに歩んで、斐川の隣のクッションに座った。
 そして、こちらを見てニッコリと笑って見せる。

「こんばんわ、篠原くん。 どうしたの? 顔青いよ?」
「……気にしないで良い……」
「そう?」

 夕凪は不思議そうに首をかしげたが、どうやら当人はあまり物事に感心を持たない性格のようで、それだけ言うとテーブルに載せてあるココアのカップに手を伸ばした。

「おい、それ篠原に入れたやつだぞ?」

 斐川が声を上げて止めようとするが、夕凪はそれを無視して葉月のココアを飲む。 斐川は「まったく……」と呆れたようにため息をついた。

「……しょうがない、篠原なんか他の飲むか?」
「必要ないと思うよ?」

 葉月は斐川の誘いに乗ろうと口を開きかけたが、いきなりカップから口を放した夕凪が割り込んだ。 斐川が眉根を寄せる。

「あのなぁ、お前がそれ口付けたから、他の入れようとしてんだろうが」
「そうじゃなくてね」
「「?」」

 葉月と非川が同時に首をかしげる。 すると、夕凪はとんでもないことを口にした。

「相馬美久って子が篠原君を迎えに来ているんだよ」
「「早く言え!!!」」

 二人で同時に声を上げる。 斐川はただのツッコミだろうが、葉月は心からの叫びだった。
 しかし、それら虚しく廊下の方から、「すいません」と言う可愛らしい声と共に、シンプルな柄のワンピースを着た小学校3年生程の少女が、自分の身長と同じくらいの長さを持つ綺麗な青色の髪を揺らしながら現れた。

「葉月は…………?」

 その少女の登場と同時に葉月は喉が干上がった様な気がしてたまらなかった。 来てしまった。

「美久っ!!!」

 自分にとっての天敵、相馬美久が。 

「葉月!!!」

 少女―美久がこちらと目が合うと目を思いっきり輝かせながら、走って飛び込んできた。

「っ!?」

 それを葉月はとっさに、と言うよりは本能的に避けた。 「むぐっ!」という呻き声と共に美久がソファに顔面から突っ込んだのを確認すると、書物をロングコートの大きなポケットの中に入れ、全力で走る。
 斐川と夕凪が唖然とした表情をしていたが、気にするよりも前にリビングのドアを思いっきり開けて一目散に廊下を走りぬけ、玄関につくといそいで靴を履き、玄関の扉もさっきと同じ様な感じで空けてから、全力で寮内を走る抜ける。
 今更だが、これらの行動は美久から逃げるためのもの(としか言いようが無い)だが、今から四日後、ゴールデンウィークが終わった後の日、葉月は美久と同じクラスになり、葉月これらの逃走劇はまったく意味がなかったことになる。


はい!どうも!俺です! 本当にお久しぶりです!
もしかしたら、俺のこと忘れちゃった人もたくさんいるかもしれません(本当にいそうで怖いww)。
今回のお話は、この俺にとって初挑戦である、フルコメディに仕上げていきたいと思っています!
本当に初めてなので、出来ていないかもしれませんし、笑えないかもしれません(その部分はちゃんと努力します!)。
ちょっと前、読者様にコメディの基本(?)的なものを教えてもらいましたが、はたして上手く書けるのかどうか。 とりあえず、生温い視線から温かい視線で見守ってください。

さて、今回はこの辺で。
アドバイス、感想、評価などを、お待ちしております!






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