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ラブカクテルス その22
作:風 雷人


いらっしゃいませ。
どうぞこちらへ。
本日はいかがなさいますか?
甘い香りのバイオレットフィズ?
それとも、危険な香りのテキーラサンライズ?
はたまた、大人の香りのマティーニ?

わかりました。本日のスペシャルですね。
少々お待ちください。
本日のカクテルの名前はターゲットでございます。

ごゆっくりどうぞ。


俺は殺し屋。
頼まれた仕事は必ずこなす。
誰にもバレたことなどない。だから皆、私の顔を見たことがない。
その業界では謎の殺し屋として、結構人気だった。
平和なこの国にも人々の恨みや不平不満は溢れている。
一昔前は、どこからともなく俺の秘密の電話に、噂を聞いたとメールが来た。
その前は秘密の私書箱だった。
でも今はインターネットという便利なものが有り、俺はこの頃大忙しだった。

仕事の依頼は様々。
色々な仇討ちから、利益目的の殺し。はたまた変わり所で安楽死なんかを求める人からの注文なんかもある。
しかし、人とは恐ろしいものである。
とはいっても、それが本来あるべき理性なのかも知れない。
この国も人命最優先。悪者にだって人権をなんて、俺様に言わせれば馬鹿な話しである。
とは言うものの、俺様も目的はお金なのだから、この考え方がなければ、商売上がったりなのだが。

俺様は商売といっても、二つの顔を持つ。
一つはこの殺し屋。
もう、何年やっているのか、あまりはっきりは覚えていないが、かなりのキャリアだ。
キッカケは一つの事件だった。

俺の趣味は昔、登山だった。
色々な山に登った。そして、そこには必ず一緒に登っていたパートナーがいた。
俺たちは周りと競い合う様に高い山を目指したものだった。
そして、俺たちはライバルの登山家と勝負をすることになった。その山は険しく、かなり苦しい闘いとなった。
お互いが雪の山頂近くに差しかかった頃、俺たちが登っていた斜面では小さな雪崩が何回も起きていて、完全なルートミスだった。
そして俺のパートナーがその雪崩の一つに巻き込まれて俺は必死に耐えた。
パートナーは何とか俺の腰に繋いだロープで宙ぶらりんになっていた。
俺は何度も呼んだが、あいつは気絶したまま起きなかった。
いや、衝撃で死んでいたのかもしれない。
そんな中、俺は自分の体を支えるのでいっぱいで、あいつを引っ張り上げるのは無理だった。
助けを呼んでも誰も来なかった。
仕方なく俺は決断した。
繋いだロープを切ったのである。

それから俺はなんとか自力で頂上に上がった。
するとライバル相手が俺を見た途端、指を差して笑うのだった。
助けて〜!わははっ
俺が気が付いたときには、足元に二人の死体があり、手には血が付いたナイフがあった。
そのナイフはあいつのロープを切ったあのナイフだった。
俺は後悔した。なんてことを。
とりあえず俺は死体を山頂の雪深くに埋めて、下山した。
その間俺は懺悔しながらの過酷な道をひたすら歩いた。
要約、俺が山の梺のキャンプに着くと、一人だった俺に皆は労いの言葉と他の者の死に悲しんだ。そして俺を責める者や、疑う者は誰一人いなかったのだった。
その時思ったのだ。バレなければよいのだと。
それから俺様は、人の死に対しての感情が変わった。死体を見ても何とも思わなくなったし、殺すこともゲーム感覚だった。
俺様は色々なミステリーやサスペンス、探偵ものや殺人絡みの映画をあまり人に気付かれずに読み更り、見あさった。
そして気付いた。
どんな犯人や殺し屋でも、初陣を果たせば後はだんだん殺人を楽しむ様になると。
次はどうすればバレないかのゲーム。
または、相手が憎ければ、どうやって苦しませて殺そうかなど、頭脳と行動力、また体力、判断力の勝負なのだ。
そして大概捕まってしまう奴らはその能力が一つでも欠けているか、人としての理性が残っていて、悔い改めてを心のどこかで願い、現場にヒントを残す奴だ。どこかで誰かに見つけて欲しい。それがきっと、彼らの目的であり、最終駅なのだろう。
でも俺様は違う。
俺様はプロだ。あくまでも目的は金である。
だからあまり感情は挟まずに、気に入った依頼とその報酬で、その仕事をやるかやらないかを決めるのだ。
そして今回も俺宛てにメールが来た。
仕事の依頼だった。

俺様にはもう一つ違う仕事があった。
それはカメラマンだった。
元々山登りのきっかけも、その景色に魅せられて、写真を撮り始めたのが動機だった。
俺様はフリーのカメラマンとして色々なところに侵入したり、張り込んだりと、粘りのある仕事や気付かれずに潜む仕事。違法ギリギリの仕事でその業界でもなかなかの顔だった。
俺様的には、こっちは趣味みたいなものだが。
そんな技術や技を活かして、俺様は依頼のターゲットをよく下見ついでに調べる。
そして、そのターゲットの写真を依頼主に見せて確認するのにも使ったのである。
なかなか二つの仕事は両立出来ていたのである。
俺様の人生は全て山で始まり、山で育まれたのだった。

今回の仕事は女性からの依頼で、ターゲットも女性だった。
彼女たちはお互い同じ会社の同期でライバル。
初めから意見や、やり方が合わずに衝突の毎日。
しかし、やがて勝敗が決まった。
依頼者が努力の末、地位と名誉、そして専務の息子までも手に入れたそうだ。
しかし、実は勝負はまだ終わってなかったのだ。
ターゲットたる相手はなんと、三十歳も歳上の社長の息子のトッチャンボーヤを色気で落とし、ありえない逆転劇に出たのである。
それまで幸せだった依頼主の生活はどん底に堕ちた。
なにしろ社長の息子だ。しかも馬鹿ときてる。
嫁に影で操られて、専務の息子をいじめ、挙句の果てに専務諸共解雇。
その結果、専務は自殺。息子はノイローゼ。
彼女は復讐の鬼となったのだった。
しかし女とは怖い生き物である。
俺様は彼女が提示した報酬がなかなかのものだったので受けることにした。
大した仕事ではないが、殺しの額に相場なんてない。それがいいところでもある。

そして俺様は調査を開始した。
ターゲットの生活の流れ、毎日規則的にしている行動をいつもと同じ様に張り込んだ。
そして、俺様は掴んだ。
彼女は毎夜、不倫相手のところに通っている。
どうやら、巧いこと言って社長の息子を出張にでも出しているらしい。
だが、家には必ず毎日昼に社長の奥さんがお茶の相手にと、訪ねてくるので目くらましに帰って、上品な顔を作っていた。
かなりの女狐だ。いいタマだ。
揺すっても金になりそうだが、顔が割れる原因になる。
素人みたいな真似はしない。

ターゲットは毎日朝帰りだ。
男が仕事に行った後に戻ってくるからか、毎日ラッシュ時の列車に乗って帰っていた。
なるほど。意外に頭がいい。確かに体力は使うが、これだけの人混みだ。
探す方が苦労する。隠れるにも、逃げるにも都合がいい。
ただの金持ちの奥さんをやらせとくにはもったいない。しかし仕事は仕事。
俺様の頭にプランは出来上がった。
仕事にかかった。

俺様の作戦はこうだった。
ターゲットの乗る電車に一緒に乗り込み、奴の背中につく。
そして俺様は、次の駅に着く直前にターゲットの心臓に、超小型拳銃で音もなく、確実にタマを打ち込む。
ドアが開いた瞬間、人混みと紛れて立ち去る。完璧だ。
俺様は行動に移した。

俺様はその朝、ターゲットより早い時間に駅近くの公園のトイレで、イメージトレーニングと、拳銃の確認をした。
そして近くのファーストフードの店に場所を移して、奴を待った。
そしてターゲットは予測通り現れた。
俺様は呼吸を整えて計画に移った。
そしてそれは順調に進み、何とか俺様は彼女の背後に着いた。
さぁ、いよいよだ。
俺様は長年の勘を活かして、拳銃をヘソ辺りで構えて、斜め上にして心臓を狙った。

俺様は秒読みを始めた。
3、2、1、今だ!
キャーっ、こ、この人痴漢ですっーぅ!
俺様はその声に引金を引くタイミングを逃し、拳銃をサッとしまった。
危なかった。
しかしそうではなかった。
手遅れだったのだ。
俺様にそこにいた人々の目は釘付けだった。
俺様は必死に逃げようとしたが、四、五人の男に捕まり動けなかった。
さすがの俺様もそこまで腕力に自身はなかった。
あえなく御用となったのである。
言い訳しても駄目だった。何せ俺様のポケットから拳銃が見つけ出されてしまったのだから。


私は女子高生。
趣味?それは痴漢。へへへ。
でも男の人を触るなんてそんな汚いことはしない。
かと言って、レズさんでもありません。
私の目的は、困った大人の男の人の顔。
だってカワイイんだもん。
だから狙った人の近くにいる女の人のオシリを私が少し撫でてあげるの。
そしたら困った顔の出来上がりっ。
カワイイっ!
さて、今日はどれをターゲットにしようかな〜。

おしまい。


いかがでしたか?
今日のオススメのカクテルの味は。
またのご来店、心よりお待ち申し上げております。では。














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