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第五回。決着! タキVSショウ!
「キッコー。水鉄砲」

「ヒーロ! 火の粉で応戦だ!」

 キッコーの放った水鉄砲に対し、ヒーロは火の粉で応戦する。

 激しくぶつかり合う水鉄砲と火の粉。しかし、徐々に火の粉が押され、火が消えた。
 火の粉に打ち勝った水鉄砲は、勢いが弱まることなくヒーロ目掛けて飛んでいき、クリティカルヒット。

「ヒーロ!」

 タキが心配そうに呼びかける。その呼びかけのおかげなのか、水鉄砲がクリティカルヒットして倒れたヒーロが、フラフラになりながら立ち上がった。

「決めろキッコー。相手に水鉄砲を打ち破る手段なんて無い!」

 キッコーがヒーロに向けて、渾身の水鉄砲を放つ。

 ヒーロに向けて真っ直ぐ飛んでいく水鉄砲。フラフラのヒーロに、それをかわす体力はもう無かった。
 しかし、水鉄砲はヒーロに命中することは無かった。タキがヒーロをかばったのだ……

「なっ……大丈夫かタキ!」

 水鉄砲を食らって吹っ飛び、立ち上がらないタキの下にショウが駆け寄る。

「タキ……お前……」

 ショウがタキの下に駆け寄り、声をかけようと顔を見ると、涙を流しているタキの顔があった。

「どうしたタキ。そんなに水鉄砲が痛かったか? とりあえず涙拭け」

 ショウがタキにハンカチを渡す。
 タキは、ハンカチを受け取り涙を拭く。

「ありがとう。僕、最後にヒーロを信じることが出来なかった。火の粉が水鉄砲に負けたとき、もう駄目だと思っちゃったんだ。でも、ヒーロは立ち上がった。その光景に呆気にとられて命令することも出来なかった僕は最低だ……」

 ハンカチで涙を拭いても吹いても、タキの涙は止まることは無かった。
 そんなタキを見たヒーロが、タキに近づいてきた。

「カゲェ!」

 ヒーロは、明るい鳴き声でタキを励ました。タキの肩をポンッと触ったりしている。

「ほら。ヒーロも気にしてないから元気だせって励ましてくれてんぜ。トレーナーがポケモンにマジ心配されてどうすんよ」

 ショウがタキに向けて手を差し出す。

「うん。ありがとう!」

 タキもこのままじゃいけないと思ったのか、必死で無理な笑顔を作って、ショウが差し出した手をギュッと握り、立ち上がった。

「そうだ。それでこそタキだ。それに、どっちかというと俺のほうが最悪な男だ。俺は、勝つ確信があってタキにポケモン勝負を挑んだんだからな」

 ショウのこの発言に、タキが疑問をもった。

「えっ? 勝つ確信があったってどういうこと?」

「まぁ、実際は有利なだけで絶対勝つわけじゃないんだけど、現段階なら勝てるって確信があった。まっ、これはタキが博士のお使いに行ったとこから確信に変わったんだけどな」

 時間は、タキがイライラしながらお使いに行き、ショウがオーキド博士に質問するところまでさかのぼる。

「ある質問? なんじゃ? それは、タキ君を怒らせる必要がある質問なのかね?」

 オーキド博士が少し怒り口調でショウに言葉をぶつける。

「ええ。やはりライバルには、あまり情報を提供したくないでしょう?」

 ショウが、少しニヤッとしながら言葉を返す。
 オーキド博士は、ライバルという言葉に反応する。

「ライバル? タキ君とショウ君は友達じゃなかったのかね?」

「ええ。友達です。むしろ親友だ。だから余計にタキと競いたくなったんですよ。俺のストーリーでは、タキと俺がポケモンマスターになり、最後の最後で俺が勝って、真のポケモンマスターになるってストーリーですから。やっぱり最後は親友と本気の戦いをやりたいんですよ」

 ショウは、オーキド博士の答えを待つことなく、言葉を進める。

「だから、俺が抱いている疑問をタキに悟られるわけにはいかなかった。だから、無理やりタキと俺を離したんです。こんなにうまくいくとは思わなかったけど。それでですね。質問というのは属性の関係のことなんですよ」

「属性の関係……! もしやショウ君!」

 オーキド博士が驚く。そう。オーキド博士は、属性の関係を話していなかったのだ。
 属性に関しては、後々知っていってもらうのが一番身にしみるとオーキド博士は考えていたからだ。それをこんなところで質問されるとは思っていなかった。

「やっぱり関係ありですか。いやぁ。見た目が見た目だったもんで気になっていたんですよ。タキは、多分気になっていないと思います。自分のヒーロー像に似たポケモンが現れたわけですからね。だから、これはチャンスだと思ったんです」

 実は、ショウがゼニガメを選択したのには、亀という言葉に反応したわけではなく、ちゃんとした理由があった。
 ショウは、ポケモンの特徴を見ていたのだ。

 ヒトカゲには、尻尾に炎がある。つまり炎属性。

 ゼニガメは、亀ということもあるし、水を吐きそうな雰囲気がある。つまり水属性。

 フシギダネには、体の上に植物のようなものが生えている。つまり自然属性。

 一般的に炎は自然を燃やす。水は炎を消す。自然は、水から力を与えてもらえる。
 それは、タキとショウがいた世界では当たり前のことである。しかし、それが自分達の全く知らない世界だとどうだろうか。

 いきなり知らない世界に飛ばされた生物は、環境の違いからか、一般的な考えが麻痺してしまう。そうなると厄介なもので、知らない生物が炎を吐け水を吐け、植物を飛ばせるとしても、所詮は知らない世界の知らない生物の話。属性の一般的理論なんて考えやしない。

 しかし、タキがヒトカゲを選んだとき、ショウは色々とわざとらしい理由をつけて、炎属性に強い、水属性のゼニガメを選んだ。
 全て推測ではあったが、一般的理論を考えながら行動していたのだ。

「オーキド博士。こんなところで間違いは無いですよね?」

「う、うむ。属性の考え方はそれで間違いはないのぉ」

「それはよかった。俺もリスクを負った甲斐がありましたよ。後はタキの帰りを待つのみ。ちゃんと謝らないと。やりすぎちゃいましたからね。俺が自分でしたことですけど、やっぱり自分のせいで怒った親友の顔を見るのは嫌ですからね」

 そして、今に至るというわけだ。

「それじゃ、あの名前のくだりは……」

「そういうわけ。全部、疑問隠しのためのくだり。まぁ、そんなことしなくてもタキはヒーロを選んでただろうな。知り合って間もないポケモンのために涙流せるんだからよ」

 ショウが、微笑みながらタキの頭を軽く小突く。

「痛いなぁ……もう言わなくていいでしょ泣いたことは! それより、僕と競い合いたいって、本気で言ってるの?」

「ああ。マジで言ってる。一度、何かでタキと競い合いたかったんだ。勉強じゃタキが勝つし、スポーツじゃ俺が勝つだろ? まともに正々堂々競い合える何かが無かったんだ俺達は。だから、ポケモンでタキと競い合いたい。これなら一から正々堂々競い合えるだろ? まぁ、属性は俺が有利だけどな。タキは俺と競うのは嫌か?」

「嫌じゃないよ。僕もショウと競い合いたい」

 ショウは「えっ」という顔をした。ショウの予想では、タキがしつこく「嫌だ」と言ってくると思っていた。だから、それに対する返しの言葉も用意していたのだ。

「今日。ショウと戦って思ったんだ。ショウに勝ちたいって。もっとポケモンバトルしたいって。もうやめられないよ。僕はポケモンマスターになる。そのためには、僕はショウと仲良く冒険しちゃいけない。僕は、ショウのライバルでいなければならない」

 力強くそう言うタキ。
 そんなタキを見て、軽く微笑むショウ。

「うっし。じゃあ決まりだな。今から俺とタキはライバル同士だ。絶対、タキには負けないからな!」

「望むところだよ!」

 タキとショウはガッチリと握手を交わした。
 そして、いよいよ旅立ちのとき……


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