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第四十九回。バトル開始!!
 ショウの……タキの言葉で盛り上がる会場。そして、そのままのテンションで行われるバトル。
 タキもショウも、興奮状態でモンスターボールに手をやる。
 そして、タキがトップバッターとして繰り出すポケモンは……

「いつも……いつも先鋒は君に任せてきた。だから、今回も君に任せるよ。ロッキー! 君に決めた!」

 タキが場に出したポケモンはロッキー。今思うと、このマスターゲート。全ての戦いの先鋒はロッキー。輝かしき特攻隊長である。ちなみにロッキーは、この先鋒キャラに誇りを持っている。

「おぉ。お前に似て熱そうなゴローンじゃねえか。じゃっ、俺は俺に似たクールなポケモンで攻めっかな。スプーン。軽く曲げてやれ」

 ニヤッとした表情で場に出すポケモンは、スプーンと呼ばれる黄色いポケモン。タキは早速ポケモン図鑑を開く。

 名はユンゲラー。体長1,3m。体重56,5kg。筋力がほとんどないため、常に超能力を使い移動するポケモン。右手に持つ銀のスプーンと長い髭が特徴的。

「なんだかまぁ、そのままなネーミングだねまた」

 タキがすかさずツッコミをいれる。

「ハハハ。これでも短くしたんだぜ。元々は髭スプーンだったんだが、略した」

「どっちにしてもそのままじゃないの!」

 なんだかこういうやり取りも懐かしい限りである。

 そして、そんな懐かしい会話も済み、いよいよバトルが始まる。
 これは、タキにとってある意味でのリベンジ戦。今度こそ……今度こそショウに一泡ふかせてやると意気込む。

「それでは、ゴローンVSユンゲラー。バトル開始!」

 まず、攻撃を仕掛けるのは例の如くロッキー。スプーンに自慢の拳をぶつけようとジリジリと近づく。
 しかし、そんなロッキーの行動に、ショウもスプーンもフッといった笑いを見せる。

「おいおいタキ。スプーン相手に間合い詰めか? そりゃお前……悪手だろ!」

 ショウがそう言うと、スプーンが何やら念仏のような言葉を唱えだした。
 いわゆる詠唱というやつだろう。そして、唱え終ったと同時に、スプーンの持つスプーンから、怪しげな光がロッキーに向かって飛び出した。

 そして、その光は、確実にロッキーを捉える。ダメージ確定だ。

「ロッキー!」

 心配そうな声を上げるタキ。
 そして、そんなタキを見てニマッとした笑みを浮かべるショウ。

「当たり前の結果だぜ。俺のスプーンとガチンコ喧嘩バトルが出来ると思うなよ。俺のスプーンに間合いは関係ねえ。このフィールド全体が攻撃範囲。分かるだろう? これがどれだけ恐いかが」

 ショウがそう言うと、スプーンがまた何か詠唱を唱え始めた。
 まだ、ロッキーは、さっきのダメージが回復しておらず、フラフラしている。見事に無防備だ。

「スプーン、サイコキネシスだ。この熱いゴローンを、優雅なフィールド旅行に連れてってやれ」

 指をパチンと一つ鳴らすと、スプーンの持つスプーンがキラリと光る。
 するとどうだろう。あれだけ重そうなロッキーがフワリと持ち上がり、ショウの言うように、フィールドを優雅に舞っているではないか。

「これは……どういうこと!?」

 不思議そうにするタキ。

「これか? これはマジックだ。種も仕掛けもない本当のマジック。クールだろ?」

 どや顔でタキに語るショウ。だが、実際にいいようにやられているタキに返す言葉はなかった。
 秘策も何も思いつかなかった。だが……何かが吹っ切れた。

 しばらくして、地面に叩きつけられたロッキー。もう、ダメージは致命的。
 このまま何もすることは出来ないのか……ロッキーは心をギュッと締め付ける。

「違う。そんなはずはないよ!」

 いや、何も出来ないことは無い。タキとロッキーの思いがシンクロする。
 逆転できるような秘策が思いつかないにしても、何も出来ないことはない。
 ロッキーに出来ることはまだある。自分の能力を最大限に発揮してもいずに何が出来ないだ。

「ロッキー……! 分かってるね!?」

 タキの一言に、ロッキーは目線で合図する。当然、その合図は分かっているの合図。

 そして、ロッキーは回り始める。
 摩擦を起こし、大地を揺らし、砂埃をあげる。目標は種も仕掛けも無いマジシャンのスプーン。このままいいようにやられていいはずがない。ロッキーは全てをかけて回転する。

「いいじゃないの。タキのポケモンらしい選択だ。だが、俺のスプーンの前には無駄な選択だぜ!」

「無駄かどうかはやってみなきゃ分からない! そうじゃなきゃ楽しくないじゃない!?」

「はっ! そりゃごもっとも!」

 タキとショウの言葉の掛け合い。そして、それと同時に最大限まで回転率を極めたロッキーが、スプーン目掛けて突進する。
 そして、それを止めようと、今の今まで詠唱を唱えていたスプーンが、ロッキーにサイコキネシスをぶつける。

 サイコキネシスをくらっても回転をやめないロッキー。止まらなくても唱え続けるスプーン。

「いいねえ。やるじゃない。でも、いつまで抵抗が続くかねえ」

「続くよ。君のスプーンが諦めるまで続けるから僕のロッキーは!」

「はっ……本当に止まらねえでやんの……いいねえ。ゴローン……いや、ロッキーだっけか。意地の音色がビンビン伝わってくるぜ。こいつは馬力飛ばしていくしかねえな! なぁスプーン!!」

 全力全快でサイコキネシスを飛ばすスプーン。しかし、止まらない止まらない止まらない!
 そして、その回転する熱きロッキーは、遂にスプーンの側まで……

 流石のショウの顔にも曇りが現れてきた。
 正直、直感でヤバイと感じてはいたのだ。そして、側まで寄られてしまうと、その感じも現実的に……

「気合い見せやがれスプーン!! この会場全てがお前を疑っても! 俺は見届けてやるぜ。お前の意地をよ」

 その言葉と同時に、ロッキーの回転がスプーンに直撃。
 これはもう致命傷を超えたといえるダメージ。会場全てが戦闘不能だと判断する。
 そして、それは審判も同じ。

「ユンゲラー戦闘不能!」

 審判が旗をあげたその時、ショウが血管むき出しで怒りを露にした。

「馬鹿野郎!! てめえ審判だろ!? なのになぜ見えねえ聴こえねえ!? 俺にはよ~く聴こえるぜ。スプーンの意地の音色がな。見せてやれスプーン。サイケ光線」

 そうショウが言った途端、スプーンの持つスプーンから、あの怪しげな光が放たれた。
 そしてその光は、確実にロッキーに直撃する。ロッキーもタキも勝利を確信していたのだ。かわせる筈は無い。そして、ロッキーも、ゆっくりと地に倒れた。

「いいぜスプーン。お前の意地はこれでみんなに届いた。誰も気づけなかったお前の意地は……さぁ、ゆっくり眠りなスプーン。誰がどう見てもお前の意地は伝わったから」

 少し涙目に、そして笑顔でそう言うショウ。そして、その言葉の直後、スプーンは気絶した。

「さぁ、どうだよ審判。これでもユンゲラー戦闘不能かい?」

 ショウが冷徹にそう言葉を発すると、審判は自分を恥じるような瞳でショウに視線をやり、弱弱しく旗をあげる。

「両者戦闘不能……」

「そうだよ。これで分かったろ? ポケモンには意地がある。それを見破れねえようなやつがポケモンマスターになれるはずがねえ。そうだろタキ? お前は自分のポケモンの意地しか見えてねえようだが……でもよぉ、その考えを変えるなよ。俺はポケモン全体を見る。お前はとことん自分に関わりのあるポケモンを見る。それでいいんだよ」

 タキはまたもや見破られた。タキは反省していた。どうして、自分はスプーンの意地を見破られなかったのだろう。正直、完璧に裏をついてくるショウに憧れていた。でも、それは違う。
 タキにはタキのスタイルが、ショウにはショウのスタイルがある。そして、そのどちらもに長所短所がある。一度裏をつかれたからといって、ほいほい自分のスタイルを変えてはいけないのだ。

「さぁ、第二ラウンドといこうぜタキ。まだまだ楽しめそうだ」

「うん。こちらこそだよ! 流石ショウだ!!」

 タキとショウ。第二ラウンド……開始!!


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