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第四回。ポケモンバトル。タキとショウ
 ルンルン気分でマサラタウンへ着いたタキは、お使いに行くときの怒った顔が嘘なような笑顔で、オーキド博士の研究所に入った。

「お使い終わったよ!」

 タキがオーキド博士とショウの下へ行き、元気よく話しかけた。
 すると、ショウがタキの下に駆け寄り、勢いよく頭を下げた。

「怒らせるようなことしてごめん! 大人気無いことしちゃったな……」

「いいよ。もう気にしてないし。だから顔をあげなよ。ショウらしくないしさ!」

 タキは笑いながらショウを許した。ショウも「ありがとな」といい、共に笑った。

 そして、いよいよ二人の旅立ちのとき。二人がオーキド博士に挨拶をして、トキワシティの先にあるトキワの森へ向かおうとしたそのときだ。

「なぁタキ。俺達ポケモンバトルもしたことないだろ? ここは練習と思って俺とポケモンバトルしないか?」

 ショウがタキへポケモンバトルを要求する。

「いいよ! 僕も練習が必要かなと思ってたんだ!」

 タキは快くショウの要求を承諾した。タキは、あえてお使いの帰りに一度ポケモンバトルをした事を言わなかった。一度ショウをギャフンと言わせてやろうと思ったのである。

 早速モンスターボールを出し、ポケモンバトルを始めようとした二人をオーキド博士が止めた。

「ちょっと待つのじゃ。ポケモンバトルはいいことなのじゃが、ポケモンバトルに関する注意を少し話しておこう」

 それは大事なことだと思った二人は、モンスターボールを一度しまい、オーキド博士の説明に耳を傾けた。

「基本的なことじゃが、ポケモンバトルに勝っても負けてもポケモンのせいにしないこと。勝った人も負けた人も、礼儀正しく最後は握手じゃ。決して人を不快にさせるような態度をしてはいかんぞ。それがマナーというやつじゃ」

 小さな声で「確かに基本的なことだなぁ」と呟くショウに対し、タキは大きく頷いていた。ついさっき、マナーを守れていないトレーナーと出会ったので、とても共感できるのだ。

「それが分かればよいのじゃ。ポケモンバトルは大事なことじゃからドンドンバトルして経験を積むのじゃぞ」

 オーキド博士はそう言うと後ろに下がり、ポケモンバトルを観戦する姿勢に入った。

 二人は仕切りなおしてモンスターボールを出し、勢いよくポケモンをだした。

「行けヒーロ! 最強の勇気と根性を見せてやるんだ!」

「その年で、よくそんな言葉が言えるよな……」

 二人の掛け声に合わせて、ヒーロとキッコーがモンスターボールから飛び出す。

「ヒーロ! ひっかくだ!」

 タキは勢いよく命令したが、やはりヒーロに命令を聞く気は無く、命令を無視する。

「もう! 本当にわがままだなヒーロは!」

 タキが困惑しているところを、ショウが逃すはずが無かった。

「なんか知らねえけど、向こうは仲間割れしてるみたいだな。チャンスだぜキッコー。探りの体当たりだ」

 ヒーロが命令を聞かないわがままな性格なのに対し、キッコーはトレーナーの命令にキチンと従い、ヒーロに体当たりを仕掛ける。

 言い合いになっているタキとヒーロは、キッコーの体当たりに気づかず、モロに体当たりが直撃し、吹っ飛んだ。

 しかし、すぐに立ち上がったヒーロは、尻尾の先の炎が激しく燃え上がらせ、キッコーを睨んだ。

 そして、キッコーの下へ突進し、キッコーにひっかくを仕掛ける。

「無駄だ! キッコー。相手に背を向けろ!」

 ヒーロのひっかくは見事にヒットした。しかしそれはキッコーの背中。つまり、亀の甲羅にヒットし、ダメージは無い。

「普通。相手に背を向けるって行為は負けを意味する行為。しかし、キッコーの背中には強力な防具がついてる。こりゃ、有利なポイントだ。そして、この甲羅に身を隠したならどう対応する?」

 ショウがそう言うと、キッコーは甲羅の中に身を隠し、ヒーロに向けて突っ込んだ。

 ヒーロは、キッコーの甲羅体当たりをギリギリでかわすが、ダメージを与える術がないヒーロは反撃することが出来ない。

 しばらくの間、ヒーロは、キッコーの甲羅体当たりを避け続けていた。
 しかし、次第にスタミナは奪われ、動きにも疲れが見えてきたそのとき。

「ヒーロ! 避けるなんて考えちゃ駄目だ! このまま避け続けても勝ちは生まれない! 受け止めるんだ。流れを変えなきゃ。無理だなんて考えないで。ヒーロなら出来る!」

 タキがヒーロに向けて言葉をかける。いつものヒーロならタキのこの言葉を無視していただろう。しかしヒーロは、甲羅体当たりを受け止める体制に入る。タキの言葉がヒーロに伝わった瞬間である。

「ちょっと無茶だぜタキ。これで決まりだ。突っ込めキッコー!」

 キッコーがヒーロに向かって甲羅体当たりで突っ込む。

「確かに無茶だ。でも、そんな無茶だってヒーロは根性で乗り越えてくれる!」

 ヒーロが突っ込んできたキッコーを受け止める。しかし、甲羅体当たりの勢いは止まらず、ズルズルと後ろに押されてゆく。ヒーロは、歯を食いしばりながら根性で我慢する。

「うそだろ……これは予想外だ」

 ショウが驚くのも無理は無い。ヒーロは甲羅体当たりを受け止めたのだ。

「よし! そのまま地面に叩きつけるんだ!」

 タキは思いっきりガッツポーズをしてヒーロに命令した。

「キッコー! 高速回転だ。摩擦を作れ!」

 ヒーロがキッコーを地面に叩きつけようと手を振り上げた瞬間を狙い、キッコーが高速で甲羅を回転させ摩擦を作ったことでヒーロが突然の痛みに驚き、手を離した。

「惜しい! もう少しだったぞヒーロ! でも、流れが変わった。押し切れるかもしれない!」

 意気込んでいるタキサイドに比べ、ショウサイドは少し暗い雰囲気になっていた。

「ふぅ。このまま押し切れると思ってたけど、そりゃ甘かったか……もうやるぜ俺は。奥の手使用だ」

「まだ奥の手が……やっぱり凄いやショウは。でも、それもヒーロは根性で乗り越えてくれると信じる。僕達の奥の手は根性だ!」

 この瞬間。余裕が見えていたショウが消えた。 
 二匹のポケモンのスタミナも少なくなってきた今、決着の時は近い。


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