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第二回。ポケットモンスター。略してポケモンの世界
 おじさんと共にオーキド博士の研究所へ向かっている途中、三人は新たな町に着いた。
 そこは、マサラタウンという町らしく、ここにオーキド博士の研究所があるらしい。

 二人は、おじさんに言われるがままにオーキド博士の研究所に足を踏み入れた。

 研究所ということもあり、難しそうな本がズラッと並んでいる。まぁ、ポケモンの研究所なので、難しい本は全てポケモンに関することなのだが……

 研究所に入った後、おじさんが二人を連れて、オーキド博士の下へ連れていった。

「失礼します。オーキド博士……実は、困ったことがありまして……」
 
 おじさんがオーキド博士に二人に関する事情を説明した。
 初めは笑顔でおじさんの悩みを聞いていたオーキド博士も、事情を聞く内に真剣な表情に変わった。

「何と! それじゃあこの子達は、ポケモンを知らぬのはもちろんのこと、ここがどこかもわからないというのかね?」

 オーキド博士も、今までにない出来事に頭を悩ませている。

「どうにかなりませんかオーキド博士?」

 おじさんも、オーキド博士同様に頭を悩ませているようだ。

「そうじゃの〜……君達はポケモンはおろか、この世界のことすら知らないんじゃな?」

 いきなり話を振られた二人はビクッとして「は、はい!」と答えた。

「なら、ポケモンの事について少しでも知識があったほうがよかろう。理由はどうあれ、この世界ではポケモンについて知らないとどうにもならないからのぉ」

 そう言うと、オーキド博士は紙とペンを取り二人に渡した。

「よいか。今からワシが言うことをよ〜くメモるんじゃぞ。とても大事な話じゃからの」

 オーキド博士がポケモンに関する基本的な話を話し始めた。

「まず、ポケモンというのはポケットモンスターの略で、この世界にすむ生き物なんじゃ。ここまではいいかの?」

 二人はメモを取りながら「は〜い」と頷いた。

「うむ。そのポケモンは、モンスターボールというボールで捕まえることができるのじゃ」

 オーキド博士は、自分のポケットに入ってあるモンスターボールを取り出し、二人に見せた。

「あっ! これおじさんに見せてもらったボールと同じだ!」

 タキがそう叫んでモンスターボールを指差した。

「ほう。それじゃ話は早いのぉ。このボールはポケモンを捕まえるためにある。その捕まえたポケモンを育てたり戦わせたりして、ポケモンマスターを目指す人たちをポケモントレーナーというのじゃ」

 オーキド博士の話を二人は必死でメモする。いや、必死なのはタキだけで、ショウはなんの焦りもみせずにマイペースにメモしている。そして「博士。質問いいですか?」と手を上げた。オーキド博士も「なんじゃ?」と質問を許可した。

「ポケモンマスターというのはつまり、最強のポケモントレーナーという解釈でよろしいでしょうか? そして、この世界にはポケモンマスターになるための数々の試練があり、世界中のポケモントレーナがポケモンマスターになるために日々努力している」

「おお! 中々鋭いのぉ。簡単に言えばそういうことじゃな。ポケモンマスターになるためには、ポケモンリーグという大会で勝ち抜かねばならん。しかし、面白いことにポケモンリーグに参加するためにも条件があってのぉ。八つある各地の公認ポケモンジムのジムリーダーに勝利して、八つのバッジを手に入れねばならんのじゃ」

 この後も、ポケモンが入っている手持ちのモンスターボールは六個と決められていて、七個目以降は、あらかじめ決められてある場所へと転送されてしまうこと。
 野生のポケモンを捕獲しても、トレーナーの力量が足りないと命令に従わないことetc……色々な細かなことまで説明してもらった。

 オーキド博士がここまで説明したということは……二人も薄々と感づいていた。

「ふう。これで説明は終わりじゃ。ちゃんとメモは取れたかの?」

 二人はオーキド博士の説明を書き込んだ紙を見せた。タキは、言われたことをそのまま紙いっぱいに書いた。
 ショウは、内容をまとめ、コンパクトに書かれている。
 しっかりとメモを取っている二人に、オーキド博士も「ちゃんとメモを取れておるのぉ。感心感心」と上機嫌だ。

「うむ。二人とも立派じゃ。何かご褒美をあげないといかんのぉ……おお! あれがいいわい」

 オーキド博士は、ワザとらしくそう言うと、棚の中にしまわれてあった三個のモンスターボールを取り出し、二人の前にある机の上においた。

「この世界ではポケモンを持っていないと話にならん。この、三個のモンスターボールの中に入っている三匹のモンスターを、君達に一匹ずつあげようではないか。この世界でポケモントレーナーとして頑張っている間に君達の世界に帰れるかもしれんしのぉ」

 ポケモンが入っているモンスターボールを見て、二人は「おぉ!」と、テンションがあがっている。

「ねぇ。モンスターボールの中からポケモンをだしてみていいですか!?」

「よいぞ。自分の気に入ったポケモンを選ぶには、実際に見てみるのが一番いいからのぉ」

「本当? やったぁ!!」

 タキは、相当テンションがあがっているらしく、勢いよく三匹のポケモンをモンスターボールからだした。
 しかし、三匹のポケモンをモンスターボールからだした途端、テンションがあがって笑顔だったタキの顔から笑顔が消えた。

「ねぇ。オーキド博士。この一番左のポケモンってポケモンだよね?」

「そうじゃよ。このポケモンはヒトカゲというポケモンじゃ」

「僕、ヒトカゲに決めた。うん。絶対決めた。いいよねショウ?」

 タキは、真剣な表情でショウに問いかける。
 ショウも、タキの変化に驚いていたらしく「あっ……あぁ……」と遠慮がちに言葉を返した。

 タキが真剣になるのも無理はない。ヒトカゲは似ていたのだ。タキが思い浮かべるヒーロー像に。タキは感激したのだ。現れないかなぁと思っていたヒーローが目の前に現れたことに。

 タキがヒトカゲを見て感激している最中、ショウも真剣な表情で二匹のポケモンを見ていた。そして……

「俺はこいつに決めた。このポケモンの名前はなんていうんですか?」

 ショウは、真ん中のモンスターボールに入っていた亀のようなポケモンを選択した。

「ふむ。このポケモンはゼニガメというポケモンじゃ」

 ショウは、ゼニガメという名前を聞いて首を傾げる。

「なんだか、パッとしない名前だな。名前を自分の好きなように変更するのはよろしいので?」

「全然いいことじゃ。自分で名前をつけることにより愛着もわくってもんじゃ」

「えっ。そうなの! じゃあ僕はヒーロって名前にする! だって僕のヒーローだからね!」

 名前を変えていいという答えに、質問したショウよりも、なぜかタキのほうがテンションがあがっている。

「ヒーロー……? なんのことなんじゃ? タキ君はポケモンの事を知らないはずなんじゃなかったのかのぉ?」

 ヒトカゲがタキの思い浮かべるヒーロー像と瓜二つだということを知らないオーキド博士にとってはチンプンカンプンな話である。

「あまり気にしないほうがいいですよ。一緒にいる俺でさえあまり理解ができないんですから」

 さらっとそう言いのけたショウに、タキは、ムッとしながらショウに言葉をぶつける。

「じゃあ、ショウはゼニガメになんて名前つけるのさ!?」

「亀といえばあれだろ。なんてつけると思う?」

 怒り口調のタキの言葉を、ショウは冷静に対処し、逆に質問を返した。

「ノコノコ?」

「違う。マリオから離れろ」

「パタパタ?」

「だから、マリオから離れろ」

 タキは、さっきまでの怒りが嘘のように真剣に考え込み、しばらくして、思いついたように勢いよく言葉を発した。

「分かった。タートルズだ!」

「確かにミュータントには近いが違う。ほら、あれだよあれ。縄で縛る最もメジャーな技といえば!?」

 タキは、ようやく答えが分かったようだが、恥ずかしくてその名前がいえないらしく「答え分かっちゃったから自分で発表しなよ……」と、呆れたようにショウに言葉を発した。

「亀甲縛りって言葉恥ずかしいか……? 亀といえばやっぱこの言葉に限る。そっから、名前を略してキッコーって名前に決めた」

「忘れてたよ……ショウって超がつくほどエロいもんね。時々、二重人格なんじゃないかって思っちゃうくらい……」

「うっせえ。がキッコーを選んだ理由はそれだけじゃないんだよ。さっき説明で言ってただろ? トレーナーの力量次第で、ポケモンは命令を聞かないって。だからよ……」

 ショウは、タキに耳打ちで内容を伝えた。

「うわ……それって僕達の世界じゃ犯罪じゃない? よく思いつくねそんなこと……」

 二人がこんな会話をしている間。何を話しているのかわからないオーキド博士は、会話に入ることが出来ず困っている。
 それに気づいたショウが、咄嗟にフォローに入る。

「あっ、名前の由来については気にしないで下さい。こっちの問題ですから。それはともかく、ポケモンを手に入れた俺達はまずどうすればいいんでしょうか?」

 いきなり話を振られたオーキド博士はビクッと驚きながらも言葉を発した。

「ごほん……君達にはいまからポケモントレーナーとして旅に出てもらう。そこでじゃ」

 オーキド博士は、棚から赤い色をした機械を二つ取り出し、二人の前にある机の上に置いた。

「これはポケモン図鑑という図鑑じゃ。この図鑑は捕まえたポケモンのデータが自動的に登録されるハイテクな図鑑でのぉ。君達にはこの図鑑を完成させて欲しいのじゃ」

 オーキド博士は、そう言うと二人にポケモン図鑑を渡した。
 ポケモン図鑑を渡された二人はというと、ポケモン図鑑にとても興味をもったようで、快く引き受けた。

「そうじゃ。ポケモンと触れ合ういい機会にちょっとお使いを頼まれてくれんかのぉ? トキワシティの道具屋にこれを渡してくれるだけでいいんじゃ」

 オーキド博士は、まるで計算したかのように、後ろにおいてあった袋を二人の前にある机の上に置いた。

「え〜。それって、博士が行きたくないだけなんじゃ……」

 タキが疑いの目でオーキド博士を見る。

「それはちがうぞタキ君。お使いの途中にポケモンに出会うこともあるじゃろう。そこで、手に入れたポケモンで戦うのじゃ。そうすることによって、ポケモンは技を磨き、精神を磨き、強くなっていくのじゃ。このお使いは、いわば修行じゃ!」

 オーキド博士が力強くそう発した。

「むぅ〜。なんだか丸め込まれたような気がするなぁ……」

 なんだか納得いかないタキに、ショウが話しかける。

「俺もそんな気がするんだよなぁ。でも、オーキド博士の言うことも一理ある。だから、ジャンケンでどっちが行くか決めないか? それなら納得がいくだろ?」

「確かに……それなら文句なしだもんね! じゃあ、早速!」

 「最初はグー!」と言おうとしたタキをショウが「ちょっと待てよ」と止める。

「ルールをおさらいしとこうぜ。ジャンケンってのは勝てばいいわけだ。勝てば行かない。負ければ行く。これでいいな?」

「なんだよ急に改まって……それでいいと思うよ。それじゃあ……最初はグー! ジャンケンポン!」

 タキはグーをだした。しかし、ショウはその場では何もださず、タキがグーをだした後に、堂々と後だしジャンケンをしてパーをだした。

「なに堂々と後だししてるんだよショウ! 反則だぞ!」

 タキがショウに不正を訴える。

「おいおい……ルールのおさらいはしたはずだぜ? ジャンケンは勝てばいい。後だしが不正だとは一言も言ってない」

 ショウの理不尽な言い分に、とうとうタキもブチ切れた。

「もういいよ! 僕が行けばいいんだろ? 時々ショウってそういう嫌なとこあるよね!」

 タキは、オーキド博士がトキワシティの道具屋に対するお届け物を怒りながら力強く持った。

「行ってきます!!」

 タキは怒り声でそう言うと、オーキド博士の研究所から姿を消した。

「ショウ君。ワシも今のはどうかと思うぞ。今からでも遅くない。一緒に行ってあげなさい」

 オーキド博士は、呆れた口調でショウを叱った。

「いいえ。確かに俺はタキにひどい事をしました。もしかしたら嫌われたかもしれません。しかし、それだけのリスクを背負っても仕方ないくらい、あなたに聞かなければならないことがあるんですよ。当然。タキ抜きでね」

 ショウが不敵な笑みを浮かべながらそう言い、オーキド博士に何かを質問した。

 そんなことを知る由もないタキは、ショウの愚痴を言いながらトキワシティへと向かう。


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