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第十九回。喋るポケモン!?
 事件とは突然起こるものだ。
 なんと、二人がクチバシティに向かう途中。一つのこじんまりとした研究所から「助けてくれぇ〜!」という叫び声が聞こえたのだ。

 これを見過ごすわけにはいかない。そう直感で感じたタキは大急ぎで研究所のドアを開けた。

 大急ぎ、そして、真剣に研究所に足を踏み入れたタキは、研究所の中の現状に思わず口がポカーンとなった。

「これは……どういうこと? ポケモンしかいない」

 少し遅れて中に入ったユリカも、意味が分からないようだ。
 
 するとその時……

「そんなポカーンとした顔で見てんと助けて〜な! 困ってんねんでわい!」

「ポ……ポケモンが喋った!?」

「嘘……こんなことって」

 二人は何が起こっているか分からないほど驚いた。
 それもそうだ。ポケモンが喋っているのである。こんなこと、タキに色々とポケモンについてアドバイスしているユリカでさえ体験したことの無い出来事だ。驚かないほうがどうかしてる。

「タキ! ここはとりあえず落ち着こう……そうだ。ポケモン図鑑で調べてみてはどうだ? 何か分かるかもしれない」

「流石ユリカ! その手があった!」

 ユリカの提案を採用したタキ、早速ポケモン図鑑を取り出し、喋るポケモンを調べた。
 しかし、ポケモン図鑑にはなんの反応もない。
 この図鑑はとても高性能なのだ。ポケモンに対して反応しないわけがない。

「ポケモン図鑑にも反応がない……ということはまさか……」

「そうや姉ちゃん。ええとこに気づいたで。あんたらの絡みが結構おもろかったから言いださんかったけど、わいはポケモンちゃう。人間や。まぁ、半分人間で半分ポケモンなんやけどな」

 それなら話は通じる。人間なら言葉は話せるし、ポケモン図鑑が反応するわけがない。しかし、重要なことはもう一つある。なぜ、人間がポケモンの姿になっているかということだ。

「とにかくや。ちょっと助けてもらいたいねん。わいの後ろにある大きい機械のボタンを押して、わいを人間の姿に戻して欲しいんや。わいは左側の機械の中に入るから、どちらさんでもいいんで右側のボタンをポチッと押してくれるだけでかまへんから。頼みますわ」

 必死に頼むポケモン人間。二人も、こんな姿で頼まれたからには断るわけにもいかない。というか、助けるために研究所へ入ったんだから断る理由もない。

 頼まれた二人はせっせと機械の前に移動する。
 そして、ポケモン人間が左側の機械に入ったのを確認すると、ポチッとボタンを押した。

 ボタンを押した途端、機械が勢いよく振動する。どうやら作動したようだ。
 その後、しばらくして機械の振動が止まり、左側・右側、両方の機械のドアが開いた。

 なんと右側から男が、左側からポケモンが。それぞれ出てきたのである。

「いやぁ。助かったわ。ほんまに助かった。お二人さんおおきにな」

「うん。それはいいけど、なんでこんなことになっちゃったの?」

 タキはお礼などどうでもよかった。ただ、なんでこんなことになったのか。それに興味が集中していた。

「これなぁ。結構、話が長くなんねんけど……」

 まとめるとこうだ。

 この男はマサキというポケモン研究家及び開発者。タキは知らないが、世界的に有名な、転送システムの開発者の一人である。
 マサキは、マサキの現在の相棒ポケモンであるイーブイと新しい転送装置の実験をしてみたのだが、見事に失敗し、例のような事態になってしまったのだ。
 ちなみに、どんな機械なのかは見ての通りなのだが、完成段階ではないので秘密らしい。
 マサキいわく、この転送装置実験が成功し、完成すると、ポケモントレーナーが喜ぶこと間違いなしらしい。

「僕には分からないけど、とても凄い人なんだね。なんだか有名人と出会った気分だよ!」

「せやから有名人やねんて。わいの知名度もまだまだやな……」

「いや、ほとんどの人が知っていると思う。それ程、転送装置は役にたってる」

 先程説明したとおり、マサキは転送システムで有名になった。すなわち、現在開発している転送装置よりも前に一つ転送装置を開発しているのだ。

「へぇ。ユリカがそこまで言うんだから相当、凄い人なんだね!」

「そうや。ようやく分かったか!」

 マサキが高らかに声を上げる。

「なんだかマサキって関西人みたい。喋り方も自信に満ち溢れた態度も!」

 タキが冗談交じりにそう言う。

「関西人? なんやそれ……なんか誤解しとるみたいやからとりあえず言うとくと、この喋り方はグレンタウン独特の喋り方なんや。まぁ、珍しいからな。勘違いしてまうのも無理ないわ」

 マサキが冗談交じりにそう言うと、急にニッコリと笑顔になり、もう一度、口を開いた。

「それとや、わいが自信に満ち溢れてんのは自分に酔いしれとるからとちゃうで。ただ、嬉しいねん。わいはポケモンとポケモントレーナーの環境を良くしたいから研究しとる。ということはや、わいが有名になるほどいい方向に進んでるってことやろ? わいはポケモンが大好きや。そんな自分がポケモンの環境をよくしてると思うと、いやでも自信に満ち溢れるわ。わいの自信はポケモンの環境をよくする原動力なんや!」

「ごめん。確かにちょっと誤解してた。マサキはただのポケモン好きじゃないんだね。ポケモンに人生を預けたポケモン好きなんだね!」

「そういうこっちゃ!」





 その後、少し雑談をし、出発の準備を始めたタキとユリカ。
 すると、マサキが何かを取りに奥に行き、間もなく何かを手に持ち戻ってきた。

「これやるわ。助けてもらった礼や!」

 マサキが何やらチケットのような物をタキとユリカに渡した。

「これは、サント・アンヌ号のチケットや。クチバシティにある港から乗れるわ。快く使い」

「いいの? ありがとう!」

「気にすんな! 一ヶ月に数枚支給されるからなぁ。わいくらいに有名になると。普通に買うと結構すんねんでそれ。今月は特に使う予定もないし丁度よかったわ」

 マサキがまた、高らかに声を上げ、笑う。

「ありがとう! じゃあ、そろそろ行くよ!」

「おぅ。達者でなぁ。最後に一つ注意や。絶対にポケモンを苦しませるようなことしたらあかんで! まぁ、あんたらに限ってそんなことは無さそうやけどな!」

「うん。その注意についてははっきりと約束できるよ。苦しませないって!」

 こうして、喋るポケモン事件を解決した二人は、改めてクチバシティを目指す。
実際のマサキの設定とは大きく異なることをここで報告しておきます(汗)


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