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第一回。ここはどこ?
「なんだよこの絵?」 「何って、僕が思い描くヒーロー像さ」

「こんな弱そうなのが?」  「勇気と根性は何よりも強いんだ。この炎はその表れだよ」

「ショウが何て言おうが、これが僕のヒーロー像さ。僕のピンチを救ってくれる唯一のヒーロー」

 タキの思い描くヒーロー像。それは友達のショウの言うように見るからに弱そう。
 でも、タキの中では最高のヒーロー像。いつか自分が思い描くヒーローが現れないかなぁと思っていた。

 タキは時々こういう話を熱く語る。そんな話をショウは文句も言わず聞くのだが、必ず否定し、馬鹿にするように笑う。

「そんなことよりあそこ行かないか? 今日、物凄い暇なんだよ」

 ショウは、タキの話が一段落ついた後、そう問いかけた。

 あそことは、タキとショウが小さい頃に家の近くの森の中に作った隠れ家で、高校生の今までずっと使い続けている二人だけの秘密の場所である。
 タキも暇な日だったのでショウの問いかけを承諾した。

 二人が向かった森の隠れ家は、人の気配が無く静かで、鳥のさえずりや、虫の声しか聞こえない。そんな隠れ家で、二人は和やかに雑談していた。

「やっぱりここは和むよなぁ。疲れているときに最適だぜ」

 ショウは、ハハハッと笑いながらそう話していたのだが、急に様子がおかしくなった。
 急に息が荒くなり始め、変な汗まで流れ始めた。そして、「苦しい……」と言いながらその場に倒れる。

「いきなりどうしたんだよショウ!」

 タキは急に倒れたショウに驚き、大きな声で呼びかけていたのだが、タキも次第に気分が悪くなり始め、その場に倒れた。
 そして二人は気を失い、意識は遠い世界へと消えた。

 しばらくして二人は目を覚ました。しかし、そこは見たことも無い場所であった。

 隠れ家があることはあるのだが、周りの風景がおかしい。明らかに地形が違うのだ。まるで、二人がいた隠れ家だけ別の森に移動したような感じになっている。

「ここはどこ……! タキ……ゆっくりと俺が指差す方向を見てみろ……」

 ショウが驚きながら指差している。これはただ事じゃないと思い、タキは素早くショウが指差す方向を振り向いた。

 そこで二人が見たものは、鳩のようで鳩ではない形をした鳥の大群であった。
 二人がしばらく唖然としていると、鳥の大群が二人の方へ向かってきたではないか。それに気づいた二人は、一目散に走り始めた。

「どういうことだタキ! どうして俺達が追われなくちゃならんのだよ!? それになんだよあの鳥! 鳩に似てるけど違うよな! 鳩じゃないよな!」

「そんなの僕に言われても知らないよ! 僕だって今の状況が理解できないんだから!」

 二人は愚痴を言い合いながら逃げ回った。何かに追われたときの耐久力は凄まじく、何分もの間全力で走り回り、ついには鳥の大群から逃げ切り森からも出ることができた。

 森から出た先は見たことも無い場所ではあるが、家などが立ち並び、人もいることからみると町のようである。とりあえず二人は現状把握のため、町の人々に聞き込みをすることにした。

「すいません。この町の名前はなんていう町ですか?」

 タキが町を歩いていたおじさんにそう尋ねた。

「ここはトキワシティだよ。名前も知らずにトキワに来るなんて珍しいなぁ」

 二人は驚いた。トキワシティなんて行ったことは当たり前の事、聞いた事すら無いのだ。

「なんだか不思議だな君達は……ちょっと聞きたいんだけど、これは持っているよね?」

 おじさんは、大げさに驚いている二人を見て、首を傾げながらそう言うと、真ん中にスイッチのようなものがある、丸い形をした赤と白の色が混ざったボールを取りだした。

 二人は目が点になりながら、二人口を合わせて「持ってません」と言葉を返した。

「えっ!? 持ってないのかい!? ということはポケモンを持っていないということだよね? 君達はどこから来たんだい!?」

 おじさんは、さっきとは打って変わって、焦った口調で二人に問いかけた。

「信じてくれるかは分かんないけど、目を覚ましたらこの先の森にいたんだ。そんで、鳥の大群に襲われて逃げてきたってわけ。それとポケモンって?」

 ショウがそう言うと、タキも頷いた。

「うむむ……きっと、ポケモンに襲われて頭がおかしくなってるんだな……そうだ。まずは、オーキド博士の研究所へ行こう。きっと君達の助けになってくれるよ!」

 おじさんは思いついたようにそう言った。

「それはちが……」

 タキは、頭がおかしくなっていることを否定しようとしたが、ショウに止められ、小声で「今はここで言い争いをするより、おっちゃんに従っとくほうが賢明だ。着いていけばなんか分かりそうだし」と言われると、タキも静かに口を閉じた。

「さぁ。おじさんに着いてきて」

 二人は「わざわざありがとうございます」と小さくお辞儀をしながらそう言うと、おじさんと共にオーキド博士の研究所へと足を進めるのであった。


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