第16話:準決勝 第1試合
目が覚めると、俺はベッドの上だった。ここはどこだろう?匂いからして医務室かな?ふと横を見ると、健と創を除く皆がいた。
「会長!気が付いたのですね!」
「ああ…。俺はどのくらい寝てた?」
「5時間くらいです。」
「皆はその間ずっとここに?」
「そんな訳無いじゃない!部屋でゲー、もご、うぐ。」
美貴は、樹の口を塞いだ。
「はい、ずっとここにおりました。」
何か怪しい。ゲーとか聞こえたぞ。もしや……。
「ゲームは楽しかったか?」
「うん!樹はずっと1番だった……んだよ。」
「へぇ〜そうなんだ。俺が気絶している間にゲームをしていたとはね…。」
そのことについて美貴が説明した。
「会長、ゲームをしていたのは樹だけです。私と晴香は明日の説明会に、茜と健君は創君の傍についておりました。樹だけが会長のお傍にいたのです。」
「てことは、樹は誰も居なくなってから部屋に戻り、ゲームをしていたということか?」
「はい、そういうことです。せっかく会長の傍に居れるというのに…。」
「そうよ!私だって居たかったのに!じゃんけんに負けたから…。」
「僕だってそうですよ!!会長を思う気持ちは皆一緒です!ねっ、創さん?」
「いや、別に…。」
「ねっ、は・じ・め・さ・ん??」
「お、おう。」
言わされたと思うのは俺だけ?
「創、もう大丈夫なのか?」
「あぁ、まだ腹がズキズキ痛むけどな。誰かさんのせいで…。」
創は、樹の顔を見た。
「何?私の顔がそんなに魅力的?でも創君はダメ!私には心に決めた人がいるんだから!」
「会長のことか?」
「ブッブー。」
「え!?」×6
たぶん一番俺が驚いているだろう。なぜなら、1度告白されているのだから。
もしかして、俺が気絶している時も、俺に興味が無くなったからゲームをしに?
「じゃ、じゃあ誰なんだ?」
俺は恐る恐る聞いた。でも、何だ?このもやもやした気持ち…。
「私の好きな人は……。」
「ごくっ。」
「それは……白立皇くんで〜す。きゃ〜恥ずかしい〜。」
「白立…皇…。ってあの白立皇か!!」
「そう!もうかっこ良過ぎ!!」
「でも、予選の時に俺にソフトクリームをくれたじゃないか。」
「あれはあれ、これはこれよ。」
なんだそりゃ?まぁ好きになる人はそれぞれだけど…なんか悲しい。
はっ!もしかして、モテ期が衰退しているんじゃ…!
俺がこんなことを考えていると、晴香、茜、美貴の3人はガッツポーズをしていた。まるで、ライバルが減って喜んでいるように…。
しかし、いつまでも悩んでいても仕方が無い。明日からのことを考えよう…少し難しいが。
「そういえば、説明会に行ったんだよな?どんな説明があった?」
「えーとですね。くじ引きの結果、慧陵高校vs普賢高校、清流高校vs青龍高校に決まりました。あと、追加ルールとして、準決勝からは死者が出てもOKだそうです。」
「へぇー。」
いつもの俺だったら、死にたくない!などと思うが、今はそれどころではない。
かと言って、樹が本命ではないのだが…。一体誰だと思う?それは……秘密。いつか教える時が来るかも。来ないかも知れないけど…。
まぁ何事も気にせず寝ることにしよう。5時間も寝たのだが、まだまだ寝れる。
「俺もう寝るわ!お休み〜。」
「は、はい、お休みなさい…。では、私たちはご飯を食べることにしましょうか。」
「賛成!もうお腹ペコペコ。」×5
俺は本日最大級の失敗したことに今は気付いていない。
翌朝午前7時。皆が起こしに来たことで目が覚めた。
「会長、遅ーい!!もうすぐで、皇さんの試合が始まっちゃうよ〜!」
「しかし変ですね。昨日沢山寝たのでは?」
「いや…それが…。実は夜中にお腹が空き過ぎて寝れなかったんだ…。」
「あははははっ!だっせ〜!」
この声は!もしや…。
「白立皇!何しに来た!」
「俺はただそこのハニーを呼びに来ただけさ。俺様の勇姿をその綺麗な瞳に焼き付けてもらうために。」
相変わらず、キザな奴だぜ。俺はまた、こいつに恥ずかしいところを見られてしまったのか。恥ずかしいという気持ちしか湧いてこない。
「皇さ〜ん!わざわざ来てくれたの?樹嬉しい〜。」
「さっ、行こうぜ、マイハニー。」
「レッツゴウ!」
キャンプに行くんかい!って思わずつっこみそうになったが、止めた。
今度恥ずかしい場面を見られたら、立ち直れなくなりそうだから。
「じゃあ俺たちも行こうぜ、あいつの勇姿とやらを見物に。」
俺たちはスタジアムの観客席へと移動した。
すでに、2校の選手は揃っていた。今回の対戦も3人だ。しかし、1人ずつ戦う。
慧陵高校のトップバッターは、かなり大きな体をしていた。 対する普賢高校のトップバッターは…!?普賢高校の選手は皆お遍路さんの様な格好をしていた。これでは特徴が分からない。
その時、各校の選手の名前が呼ばれた。
「慧陵高校代表、ゴンザレス。普賢高校代表、お遍路さん2号。」
そのままじゃねーか!!てか、ニックネームで良いのかよ。それだったら俺も…やっぱりやめた。名前を考えただけで恥ずかしくなる。
「それでは、試合開始!」
合図が発せられても、2人は動かなかった。相手の様子を伺っているのだろう。
先に動いたのは、ゴンザレスだった。
ゴンザレスは、体格の割に素早かった。あっという間に2号に詰め寄ると、大きな拳を叩きつけた。
2号はかわさなかった。しかし、当たってもいない。どういうことだ?
何やら見えない壁に阻まれているようだ。
その時、2号が笑った。そして、ゴンザレスを殴った。2号の体格からして、力は強そうには見えないが、ゴンザレスを吹っ飛ばした。
ゴンザレスは起き上がり、悔しそうに地団太を踏んだ。
「よくもやったな!許さない!!」
ゴンザレスは、右腕を後ろに引き、力を集中させた。そして、渾身の突進パンチ。
「くらえ!必殺、スクリュウパンチ!」
ボキッという鈍い音が響いた。ゴンザレスは、泡を吹きながら倒れた。
どうやら、右手、右腕が折れたようだ。そのショックに倒れたと考えられる。
一体なんだ?あの見えない壁は。まさか!妖術使い!こんなこと思いたくないが、慧陵高校が勝って欲しいとちょっぴり思った。
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